抄録
高倉火山列は,活火山を有する仙岩地熱地域に属す第四期成層火山列で,小高倉,高倉,丸森火山からなる.火山列南端を占める丸森火山に注目し,形成史およびマグマ供給系の組成変化過程を検討した.
本火山噴出物には,ソレアイト(TH)とカルクアルカリ(CA)両系列岩が共存し,それぞれ9噴出物に区分できる.初~中期には両系列のマグマが交互に噴出し,後期にはTH系列が卓越し,その後CA系列の活動に推移した.高倉火山列の3火山は,TH系列岩の全岩主化学組成の特性・傾向が異なることから,各火山で異なるTH質親マグマに由来すると解釈できる.丸森火山のTH系列岩では,後に噴出した噴出物ほど未分化な組成が確認でき,未分化マグマの注入を示唆する.
CA系列では特に不均質な岩石学的特徴を持つ一ノ又沢第5溶岩に注目し,組成変化を検討した.本火山のCA系列マグマの組成変化は,安山岩質マグマへの珪長質マグマの混合が重要な役割を果たすと言える.