抄録
BarytocalciteからMn2+イオンによる強いカソードルミネッセンス(CL)発光を見出した。この発光中心の帰属ならびに温度依存性を検討した。室温でのCL測定において赤色領域に発光強度の高いブロードなバンドスペクトル(波長ピーク600nm)を観測した。この発光はMn2+イオンがCaイオンを置換しアクチベータとして作用したもので、4G→6S遷移による。ピーク波長はカルサイト型炭酸塩鉱物に比べ低波長側に位置し、発光中心と配位子との距離に依存する結晶場の影響を受ける。この発光ピークは試料温度上昇とともに強度の低下がみられ、温度消光を示すことが明らになった。