抄録
(Mg,Fe)2SiO4リングウッダイトは、マントル遷移層における主要構成鉱物であると考えられている。Mg2SiO4リングウッダイトの高温熱容量は過去に測定がなされているが、理論計算による値と調和的ではなかった。そこで、本研究では、示差走査熱量測定を行うことにより300-850 Kの温度範囲での高温熱容量を再決定した。測定結果は、過去の報告値よりも3%-5%大きな値を示し、理論計算値と調和的であった。850 K以上での熱容量は、格子振動モデル計算により推定された。本研究による熱容量を用いると、高温下では従来よりも大きなエントロピーが与えられる。このため、Mg2SiO4リングウッダイトの高圧高温下での熱力学的安定性は再検討される必要があるだろう。