抄録
岐阜県春日地域の貝月山花崗岩体直近の再結晶ドロマイト岩中からクリントン雲母を含む交代脈(脈状スカルン)を見出した.この交代脈は,幅5cm程度で母岩から脈中央に向かって,苦土かんらん石‐透輝石帯(Zone1),クリントン雲母,スピネル,パーガス閃石,透輝石を含むAl2O3に富む鉱物帯(Zone2),ざくろ石,単斜輝石,斜灰簾石,灰長石,氷長石などからなる鉱物帯(Zone3)が対称的に配列している.花崗岩側から供給されたシリカに富む流体はドロマイト岩の割れ目に侵入し,溶存シリカの壁岩への拡散・反応によりZone1が形成された.引き続いて局所的にアルミナに富む流体が生じ,Zone1と反応してZone2が形成された.