抄録
マスケリナイトに加わった圧力、温度および圧力保持時間をカソードルミネッセンス(CL)から評価する。アルバイトの衝撃実験およびDAC実験の回収試料、火星および月隕石中のマスケリナイトはCLスペクトルにおいて330および380 nm付近のピークを有する。波形分離解析の結果、2.95、3.26および3.88 eV付近の発光成分が得られ、発光強度が衝撃実験およびDAC実験時の圧力と相関するため、高圧下で生成する構造欠陥に帰属される。DAC実験試料は衝撃実験試料よりも高い発光強度を有し、これは圧力保持時間の差に起因する。また、衝撃実験の検量線から得られた圧力はDAC実験よりも高い。隕石中のマスケリナイトのCL像において、メルトポケットに接する領域は微弱な発光であり、それ以外では均一な発光分布を示す。よって欠陥消失温度以下では、発光強度は圧力と圧力保持時間にのみ依存することから、衝撃実験試料からの推定値とDAC実験のそれとの間に実際の衝撃圧力が位置する。