抄録
中国北東部・五大連池火山の火成活動の起源を明らかにする目的で、1719–1721 年の玄武岩を対象に研究を行った。試料は約5%のカンラン石微斑晶を有し、それらはマグマの減圧脱水に伴うリキダス上昇で結晶化したと推定される。そこで、カンラン石と石基ガラスの組成を利用して結晶化温度を計算した結果、1250-1260℃と推定された。この温度はリソスフェリックマントルの推定温度よりもずっと高いことから、マグマはさらに深部のマントルを起源とすることが分かった。中国北東部の長白山地域の玄武岩については、停滞スラブ内の堆積物の影響を受けたマントル遷移層に由来する含水マントルプリュームを起源としていると考えられているが、五大連池の玄武岩は、長白山と同様の地球化学的特徴をもち、また直下の遷移層が長白山と同様に水に富んでいることから、長白山と同じくマントル遷移層から上昇した含水マントルプリュームを起源としている可能性がある。