2006 年 55 巻 7 号 p. 300-305
マハラノビス-田口法 (MT法) を用いて, 淡水中における炭素鋼の腐食診断を行った. 検討する水質項目として, 硫酸イオン, 塩化物イオンおよび重炭酸イオンの3項目を使用した. 任意の平均値, 標準偏差および相関係数を用いることで人工的な基準空間を作成した. 項目を腐食促進成分と腐食抑制成分に分類し, 腐食抑制成分を逆数にすることで閉じた基準空間とした. 基準空間の中心 (平均値) を0と固定することで, 低濃度の腐食促進因子に対応した. 最適な基準空間を人工的に作成する方法を構築した. この方法を用いて炭素鋼の淡水腐食試験結果より評価を行った結果, 誤判定が従来法よりも大幅に減少した.