抄録
本邦ではLi-tourmalineの産出が報告されているが(櫻井ら,1977、上原ら,2011他)、いずれの産地においてもLi-tourmalineの詳細な鉱物学的研究はなされていない。今回は、福岡県長垂、茨城県妙見山、宮崎県大崩山から産するLi-tourmalineを分析し、その化学組成の比較を行った。いずれの産地においても黒色、藍色のtourmalineはNa、Feに富み、長垂の水色、桃色のもの、妙見山の桃色、緑色のもの、大崩山の無色のものは、Al、Liに富んでいた。長垂のtourmalineは、elbaite、fluor-elbaite、rossmanite、schorl、fluor-schorlからなり、妙見山、大崩山はelbaite、fluor-elbaite、schorl、fluor-schorlからなる。fluor-elbaiteの中にはMnに富むものがある。