上部マントルを構成する主要鉱物はオリビンであり、そのオリビンの鉄端成分であるFe2SiO4 (Fayalite)の高温高圧条件での鉱物物性を知ることは、上部マントルのダイナミクスや進化を理解するうえで極めて重要である。本研究では、FayaliteのSpinel構造への相転移に注目し、放射光X線を用いたその場測定法により、相転移圧力の再評価を行った。高圧実験では、マルチアンビル型高圧発生装置を用いた。また、放射光施設はKEKまたはSPring-8を利用した。本研究で決定された相転移境界は、約5GPaであり、過去の実験と大きな矛盾はなかったが、相転移境界の傾きに差異が認められた。