抄録
フェロペリクレース(Fp, (Mg,Fe)O)は地球の下部マントルを構成する主要構成鉱物の一つであり,核-マントル境界付近まで安定な相である.本研究では(Mg0.6Fe0.4)O組成のFpの高圧条件下での相同定及びスピン転移を,放射光X線回折及びメスバウアー分光同時測定システムを用いて明らかにすることを目的とする.メスバウアースペクトルは20, 40, 80,90,105 GPaで測定した.20GPaではダブレットが観察されたが,加圧するに従い,HSのFe2+に帰属されるダブレットが小さくなり,LSのFe2+に帰属されるシングレットが大きくなる様子が観察されたが,ダブレットは105 GPaまで明確に確認できた.20GPaで取得したX線回折パターンはFpのB1構造を示すが,105GPaではB8 及びrhombohedral構造,さらにB1構造が残っている.