抄録
中国地方から近畿地方にかけて分布する超マフィック岩体にはクロミタイトがしばしば伴われている.中国地域にはクロム鉱山がいくつか存在し,超マフィック岩を含めた比較的詳細な記載がなされてきた.また,クロムスピネルの化学組成などから,クロミタイトの成因モデルや鉱床探査モデルが示された.北近畿地方に分布する超マフィック岩についてのクロムスピネルなどの化学組成を議論したものは,中国地方中部の情報と比べて不明な部分が多い.本発表では,中国地方中部~北近畿に分布する超マフィック岩体中のクロミタイトの顕微鏡下での特徴とクロムスピネルの化学的な特徴を明らかにする.クロミタイトは中国地方中部の地域のものがCr#で0.41-0.63であるのに対して,北近畿地方のものが0.38-0.51と明らかに低い.つまり,メルトのAl含有量の差が,全体のCr含有量に影響を与え,壁岩との反応の程度により鉱床規模が決定された.