抄録
チベット高原南部に位置するプマユムツォ湖には、60 m以上の湖底堆積層が存在していることが示されている。プマユムツォ湖において長さ約4mの柱状堆積物が4本採取されている。湖底堆積物の放射性炭素による年代決定に加えて、物理量や化学組成等を分析することにより、連続的な環境変動の復元が可能になると期待される。特に、湖底堆積物中の粘土鉱物組成および地球化学組成は、湖周囲の水循環や乾湿変動の指標になることが報告されており、重要な古環境プロキシである。本研究では、PY608E-PCについて放射性炭素による年代決定、無機化学組成、粒度組成、および粘土鉱物組成をもとに、過去約12500年間のアジアモンスーン活動とチベット高原における水循環変動について報告する。