アタカマ塩湖は世界最大の塩湖の一つであり,超乾燥地域である。乾燥によって厚く覆われた塩類皮殻のかん水中におよそ2,200 ppm の高濃度リチウムを含有している.塩湖の形成モデルによれば,塩湖に供給される水は後背地からの降水や雪解け水が主体である.それらが伏流水として流入する過程で蒸発を受け,その組成を高濃度のかん水へと変化させていく.塩湖のリチウムの起源については,塩湖周囲に広がる火山岩類に含まれるリチウムが伏流水により溶脱されたとする火山岩起源説及び北部に存在する地熱帯の温泉水も含めた伏流水が関係しているとする説がある.塩湖の高濃度リチウム起源について考えるためには,伏流水の経路となる後背地の地質が重要となってくる.しかし,この塩湖周辺に分布する岩石の化学組成に関する研究は乏しい.そこで,現地調査を行い岩石記載とそれら岩石の化学分析を行い高濃度リチウムかん水の起源に関する考察を行った.