抄録
海底の熱水噴出孔や地球内部などの高温高圧下において流体は超臨界流体として存在していると考えられる.流体の相状態や臨界点の把握はこのような高温高圧下での反応のメカニズムを解明する上で極めて重要である.本研究では臨界現象の観察と臨界点の決定を目的として,臨界点付近のH2O, CO2, C2H5OH, NaCl水溶液の分光計測を400nmから890nmの波長の光に対して行った.その結果,流体を透過する光の強度は臨界点付近において急激に減少した.また,すべての試料流体において,透過光の強度が最小になるときの温度・圧力はそれぞれの流体の臨界点とほぼ一致した.臨界点の実験値が文献値と比較的よく一致したことから,分光計測を用いた臨界点の測定方法は有効であるといえ,多成分地殻流体の臨界点の測定への応用が期待できる.