マントル物質中の結晶と結晶の境界(相境界)に、メルトや水に富む流体がどのように、どれだけ存在しているかは、メルトの発生や移動、マントルの物性・化学組成変動に直接的な影響を与えるため重要な情報である。 実験岩石学的、理論的アプローチは多いが、天然物質の観察例はほとんどない。 これまで知られていなかったマントル起源かんらん岩の相境界のナノスケール微細組織に着目し、この組織が、固相–流体反応で相境界に形成された物質であると仮説をたて検証している。この微細組織の相の決定と微量元素分析方法について、ラマン分光分析装置を用いてナノサイズの相解析方法をに活用することを進めている。表面に存在する鉱物とその状態を明らかにし、結晶相境界に分布する特異な組織は何で構成されているか、初生結晶の種類・組み合わせによる違いなどを明らかにし、結晶相境界で起きている反応、流体/メルトの存否と形態などについて検討する。