抄録
今回人形峠で,中生代後期白亜紀~古第三紀に貫入した人形峠花崗岩と堆積岩との接触部で以前に採集されたウラン鉱物を,XRDで定性分析を行ったところ,燐灰ウラン石,メタ燐灰ウラン石Iのほか,相当量のd001=9.065 Åを示す鉱物が共存していることを確認した.その後20-25℃,湿度50-60%の室内に約7ヶ月間置いた後に再びXRD測定を行った所,燐灰ウラン石のピークは減少し,100℃以上でメタ燐灰ウラン石Iが脱水して生成するとされるメタ燐灰ウラン石IIが出現した.一方,本鉱物は相対強度がほとんど変化せずに残っていた. EPMAにより得られた化学分析値から,実験式は,Ca(UO2)2 (PO4)2・6.5H2Oとなり,これまでH2Oが0-6とされていた燐灰ウラン石より含水量が多い鉱物であることがわかった.さらに,本鉱物は紫外線による蛍光にも燐灰ウラン石との間に若干の違いが見られた.