抄録
Popigaiクレーター中のimpact diamondは起源物質(グラファイト)由来の板状形態を有することからマルテンサイト相転移によるとされるが,その微細組織や形成過程については十分に検討されていない.そこで,我々はPopigai産ダイヤについてTEMによる微細組織観察を行い,高圧実験の結果とも比較しながら,その形成メカニズムを考察した.TEM観察の結果,配向関係の観察よりimpact diamondの形成は単結晶様グラファイトからのマルテンサイト相転移によると示唆された.また、単結晶様グラファイトを用いた高圧実験の結果で同様の微細組織を示す層状ナノダイヤが15-25 GPa,1300-2300℃の条件で得られていることから,Popigaiクレーター形成時の衝撃圧力が35-60 GPaだとするこれまでの見積もりは過大評価の可能性が高い.