抄録
炭素質コンドライトのコンドリュールの多くは,マトリックスに似た細粒鉱物からなるリムに覆われている。リムの成因については,星雲中でコンドリュールが表面に塵を集積させてできたとする「星雲説」と,隕石母天体中のプロセスでできたとする「母天体説」の間で議論が続いている。最近Tomeoka and Ohnishiは, Mokoia CV3隕石には層状ケイ酸塩に富むリムとオリビンに富むリムがあることを明らかにし,それらリムと内部のコンドリュールは,実は隕石母天体内のホスト隕石があった場所とは異なる領域からやって来た破片(クラスト)だというモデルを提出した。Vigarano CV3隕石にもコンドリュール/リム形成モデルが適用できるかを検証する研究を行った。