抄録
ダイオジェナイト隕石は、HED隕石の一つで、小惑星ベスタの下部地殻もしくは貫入岩体が起源だとされる. NWA 5480は、主にかんらん石と斜方輝石から構成されるダイオジェナイトである.かんらん石、輝石、クロマイトは、化学的ゾーニングを持ち、これは、この隕石が、比較的早く冷却したことを示す。一見角レキ化を受けていない結晶質な隕石であるが、非常に不均質な組織を示す.他の結晶質ダイオジェナイトに比べ、プラチナ属元素の含有量が非常に高く(10-3×CI)、コンドライト的な存在比を示す.これらの事実から、NWA 5480は、大規模な衝突の結果形成された衝突溶融岩であることが考えられる.