抄録
大規模なカルデラ形成噴火に至るまでにマグマ供給系にどのような変化が起こったかを知ることは,将来起こりうるカルデラ噴火のプロセスを理解する上で重要である.阿蘇-4火砕噴火,姶良火砕噴火の2つの大規模カルデラ形成噴火の直前に噴出したマグマの岩石学的特徴を検討した.研究対象は(1a)阿蘇-4火砕流の直前にカルデラの外,5km西に噴出した大峰火砕丘とそれに伴う高遊原溶岩,(1b)阿蘇カルデラ西方に阿蘇-3〜阿蘇-4火砕噴火の間に堆積した花房層に挟まれるテフラ,(1c)阿多〜阿蘇-4間に見られる阿蘇3/4降下軽石層,(2)姶良噴火の5000年〜2000年前に噴出した清水流紋岩,大塚降下軽石,深港テフラ,毛梨野テフラである.