抄録
瀬場谷変斑れい岩体中のエクロジャイトのざくろ石は粗粒結晶と細粒結晶の産状が存在する.どちらも紅色の核部(他形)と淡紅色の縁部(半自形~他形)の光学的累帯構造を示し,反射電子像では最外縁部と結晶内へ割れ目様に明色を示す組織が存在し,FeとMnを多く含む傾向がある.また,オンファス輝石がざくろ石中の包有物とざくろ石割れ目に存在する.ざくろ石の産状,組成により,3回の昇温イベントを経験した可能性が考えられる.紅色の核部:第1昇温イベント,淡紅色の縁部:第2昇温イベント,最外縁部:狭義の三波川変成作用,網目様組織:狭義の三波川変成作用の後退作用間に形成されたと考えられる.また,オンファス輝石は2回の異なるステージで形成されたことを示す.ざくろ石中の包有物はエクロジャイト相変成作用時に形成されたことを示す.