抄録
ロジン岩は蛇紋岩に伴って産出し, Caに富みSiに乏しく非常に多様な鉱物組み合わせを示す。長野県下伊那地域では様々な蛇紋岩化の程度のかんらん岩及び蛇紋岩が見られ, これらの超塩基性岩に伴いロジン岩が産する(e.g. 島津 1956)。今回蛇紋岩化の程度の異なる蛇紋岩・かんらん岩に伴うロジン岩を用いて, 両者の境界部を中心とした観察から形成時の反応の推定を行った。ほとんど蛇紋岩化していないかんらん岩とロジン岩脈の境界部では蛇紋石-緑泥石帯が形成され, かんらん岩側ではAlの変化を伴うメッシュ組織, ロジン岩側ではAl, Feに富む短冊状組織が見られた。両者の間はAl, Feが緩やかに変化する領域によって接続されていた。それに対し, 蛇紋岩とロジン岩の境界部でも蛇紋石-緑泥石帯が形成されていたが蛇紋岩側のメッシュ組織内でのAlの変化は見られず, 不連続に短冊状の組織に切り替わっていた。