抄録
三重県伊勢市の層状マンガン鉱床より新鉱物「ランタンフェリ赤坂石」(A1CaA2LaM1Fe3+M2Al M3Mn2+(SiO4)(Si2O7)O(OH): IMA2013-126)および「ランタンフェリアンドロス石」(A1Mn2+A2LaM1Fe3+M2AlM3Mn2+(SiO4)(Si2O7)O(OH): IMA2013-127)を発見した.いずれも緑簾石族鉱物に属し,その組成はLa, Mn, Feに富む.両種はA1席に卓越する元素(Ca, Mn2+)により区別される.結晶化学的検討の結果,新たに(1) A1席におけるMn2+含有量の増加に伴うβ-angleの減少, (2)Mn2+を含まないものと比べMn2+を含む褐簾石族でより顕著なA1-O9の伸長が起こることを明らかにし, A1席中のMn2+増加でδ[(A1-O5)-(A1-O6)] (Å)が大きくなることを確認した.