抄録
新潟県に広く分布する魚沼層群中に含まれるSK100ジルコンのインクルージョンを調べた。このジルコンは火山ガラスに覆われた特異な形状をしている。このジルコンを主に走査電子顕微鏡で,観察した。その結果、ジルコンのインクルージョンに,メルト状のアルカリ質火山ガラスが多く見られた。他に斜長石やアパタイト含まれていた。また一部ジルコンの中心部に,累帯構造を呈しながら自然銀粒子と粒状のガラス質粒子と共存しながら密集していることが観察された。また,ジルコン結晶の表面及びジルコンに附着した火山ガラスの気泡穴に金、銀が観察された。その他にジルコンの割れ目や直線状の穴に、多くの微小鉱物が見出された。このことから,SK100火山灰層に,金,銀の他にNi, Cr,Cuなどの金属元素や「重晶石」「黄銅鉱」など熱水性の鉱物が多く見つかっている。このような火山灰層中に金,銀などが産することは珍しいことである。