非晶質炭酸カルシウム(ACC)は準安定な物質であり、結晶質炭酸カルシウムの前駆体となることが知られている。本研究では、放射光X線を用いてACCの圧力誘起結晶化の高圧下その場観察を行った。圧力発生にはPF-ARの高圧発生装置(MAX80)を用い、合成したACCを室温で加圧しながらエネルギー分散型XRDの時分割測定を行った。時分割XRDにより、ACCからカルサイトおよびファーテライトへの速い相転移が観察された。また、Avramiプロットからファーテライトの方が核形成より結晶成長が律速していることが予想された。このことは、ファーテライトの方が小さい駆動力で核形成が起こりやすく、低い圧力ほどファーテライトが多く結晶化するという加圧回収実験の結果と調和的である。