地球内部に沈み込む深部スラブはプレートテクトニクス型マントル対流運動の主要な駆動力であるが、その力学的性質は未だ不可解な点が多い。特に、海溝での沈み込みや上下マントル境界付近での折れ曲がりを可能にする変形機構や、(稍)深発地震の発生に見られるような高圧下での断層運動(剪断不安定化)のメカニズムはよくわかっていない。そこには海洋との加水反応で加わった水やその深部での脱水反応、また高圧相転移などが関わっていると考えられる。我々は深部スラブで起こるこれらの反応と変形挙動の相互作用を明らかにするために、高温高圧変形場において、反応速度とクリープデータ、Acoustic emission(AE)活動を同時にモニタする実験技術の開発を行ってきた。また深発月震の原因とされるような高圧高温下での部分溶融にともなうAE発生の測定も試みている。本発表ではその実験手法と結果の一部を報告する。