Nominally anhydrous minerals (NAMS)は地殻やマントル内における水のリザーバーとして重要である.ハイドロガーネット,katoite Ca3Al2(O4H4)3は代表的なNAMSとして知られる.下部地殻・上部マントルにおけるNAMSの挙動を知るため,katoiteの構造相転移を単結晶X線回折法と高圧ラマン分光法を用いて検証した. ラマン分光法において,常圧で332と537 cm-1に格子振動によるバンドが観察された.両バンドの半値幅は加圧に伴い増加し,6 GPa付近で増加率が変化した.増加率の変化は振動モードの分裂を示し,つまり晶系変化を示している.したがって,katoiteの結晶構造は圧力増加に伴い,6 GPa付近で立方晶系の空間群Ia-3d (点群Oh)からメジャーライト構造である正方晶系のI41/acd (点群D4h)に構造相転移する可能性が示された.