最近の研究で、氷の高圧相である氷Ⅶ相の結晶構造中にLiClやNaClといった塩を取り込むことが報告されている。本研究では、室温下での加圧実験で氷Ⅶ相へのMgCl2の取り込みの可能性について調べることを目的として、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いた塩化マグネシウム水溶液のX線回折パターン及びラマンスペクトルの測定を行った。実験の結果、不純物を含まない水から析出した氷と比較して、氷Ⅶ相と氷Ⅷ相の相境界温度の低下、氷Ⅶ相のOH伸縮振動(3200 cm-1付近)のピーク位置の高波数側へのシフトが見られ、塩化マグネシウムが氷Ⅶ相の結晶構造へ取り込まれていることを示唆した。