上部マントルのレオロジーはオリビン多結晶体の高温変形実験で得られたデータによって議論されるが、天然由来のオリビン多結晶体の固さは人工的に合成されたオリビン多結晶体の固さよりも粘性率にして10倍以上固いことが報告されており、議論が続いている。材料科学の知見から、この硬さの違いの候補として試料に含まれる不純物の量の違いによるものと考えられる。そこで本研究ではこれまでとは異なる手法を用いて、不純物を含まない鉄入りオリビン (Mg1.8Fe0.2SiO4) 多結晶体試料と、不純物 (0.1wt% CaO, Al2O3, Ni, TiO2) を含む試料を作製し、それぞれの試料について変形実験を行った。その結果、すべての試料は拡散クリープで変形し、不純物による固さの違いはほとんど見られなかった。また、鉄なしオリビンとの固さを比較したところ、鉄によって10倍程度柔らかくなることが分かった。