抄録
中国レスの土壌化に伴う磁気増大は,磁性粒子の生成が原因であると考えられているが,光学顕微鏡レベルでは未だ確認されていない。そこで本研究では,磁気増大現象の素過程を理解するため,中国レスについて,XRDとSEM/STEM観察を行い,磁性粒子の結晶相・体積比率・存在形態を調べた。XRDの結果,レス中の磁性鉱物(hematite, magnetite)の体積比率は非常に低い(< 1vol.%)ことがわかった。TEM観察の結果,これらの磁性鉱物は,土壌化(風化)の進んだmuscovite中にナノサイズの包有物として含まれていた。包有物はmuscoviteの土壌化(風化)に伴って二次的に形成した可能性が高い。特にmagnetiteは強い磁性をもつため,主にその生成が磁気増大の原因になっていると考えられる。発表では,これら土壌化起源magnetiteの特徴を詳しく紹介する。