抄録
主にX線回折装置を用い、CO3炭素質コンドライトのバルクの鉱物学的特徴から10種のCO3の熱変成度の差異を示し、成因を考察した。研磨薄片を用い、試料面内回転させ、粉末回折パターンを取得した。X線管球ターゲットにCuを用いた。かんらん石(130)面には低サブタイプでは2重ピークが認められ、I型コンドリュールのフォルステライトに近い組成のかんらん石とマトリックスの鉄に富むかんらん石に相当する。サブタイプと回折角の半値幅とによい相関が認められた。サブタイプが上昇すると、輝石の主相の低Ca単斜輝石の強度が減少する。これはマトリックスのかんらん石の成長による。高サブタイプではテーナイト(111)の回折強度が増加し、テトラテーナイト(111)が出現する。CO3コンドライトの多くは非角礫岩化で、衝撃変成度も低い。母天体構造はオニオンシェルモデル、熱源は隕石母天体での短寿命放射壊変熱、Isnaが天体中心にあった、として、かんらん石と低Ca単斜輝石のMg-Fe-Caの固体内元素拡散速度からCO3母天体の中心温度は約800K、直径約30kmと解析した。