日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: R7-P03
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R7:岩石・鉱物・鉱床一般(共催:資源地質学会)
ブルース石のFe固溶によるラマンスペクトル変化
*水上 知行林 竜太郎大柳 良介岡本 敦
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抄録
ブルース石のMgを置換して固溶するFeの濃度は、かんらん岩の蛇紋岩化作用におけるFeの挙動を理解する上で重要な情報である。蛇紋石と共晶をなす微細なブルース石のMg/(Mg+Fe)(=Mg#)を決定する指標を得るため、水熱実験によりブルース石(Mg# = 0.83-0.98)を合成し、ラマンピークのMg#依存性を調べた。ブルース石のFeの増加に応じて、格子振動モードである278 cm-1と443 cm-1のピーク中心波数が連続的に減少する。一方、O-H ピーク中心位置は変化せず、Mg端成分に特徴的な3650 cm-1のO-Hピークに加えて低波数側に複数のピークが現れる(最大で合計8)。最も高波数の3650cm-1ピークをP1とし低波数側へ向けて(P1, P2, P4, P6)のピーク群と(P3, P5, P7, P8)のピーク群に分けて面積比を取るとMg#と良い相関を示した。この結果から、O-Hに配位する3つの6配位席をMgMgMgが占める場合とMgMgFeが占める場合に、それぞれのO-H振動に少なくとも4つのエネルギー状態が存在すると解釈できる。
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© 2016 日本鉱物科学会
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