抄録
FIB/SIXM(走査-結像X線顕微CT)法を用いて炭素質コンドライト(Sutter’s Mill隕石)の鉱物粒子(方解石6粒子、エンスタライト1粒子)中に有機物からなると考えられる数ミクロンサイズの包有物を見出した。一部の包有物については、ラマン分光分析、nanoSIMSによるC,O,N,H同位体分析、STXM-XANES分析をおこない、不溶性有機物(IOM)であることを確認した。水質変成時に水と共存していたIOMが、方解石の成長に伴って結晶中に取り込まれたものと考えられる。また、包有物中の空隙は同時に取り込まれた水が、その後蒸発により抜けた痕跡かもしれない。炭素質コンドライトの鉱物粒子中には、IOM包有物が多量ではないが普遍的に存在するものと考えられる。