抄録
代表的な第四紀火山ガラス試料4種に関して、二種類の紫外線レーザー(波長193nmのエキシマーレーザーと波長260nmのフェムト秒レーザー)を用いてICP-MSによる多元素定量分析を行った。各元素の定量値は概ね一致していたが、ホウ素の値は、フェムト秒レーザーを用いた場合、エキシマーレーザーを用いた場合に比べて非常に大きなばらつきを示した。微結晶を殆ど含まないLipari obsidianのホウ素濃度測定値のみほぼ一致した事などから、他の試料で見られたホウ素測定値の分布の違いは、ガラス中に不均一に存在する含ホウ素微結晶の関与が推定された。Lipari obsidianのXRDパターンからは、微結晶の存在を示すピークは見られなかった。一方、Sheep TrackおよびLakiの2試料のXRDパターンからは、長石や輝石といった造岩鉱物に加えて、含ホウ素鉱物の微結晶の存在が示唆された。Old Crowに関しては顕著なXRDピークは見られなかったが、これは含ホウ素微結晶が、サブミクロンサイズの”nanolite”であるためと推定された。