抄録
三波川帯高越地域のローソン石を含むざくろ石藍閃石片岩(THK31)の変成履歴を検討した.THK31の露頭は,高越地域の藍閃石エクロジャイト露頭(榎谷)より約200m西方に位置する.シュードセクション解析の結果,ざくろ石コアはピーク圧力条件(2.2GPa, 500℃),マントル~リムは減圧温度上昇(ピークは1.8GPa, 540℃)を記録する.ざくろ石リムの観察される鉱物組む合わせは,藍閃石+ローソン石+緑泥石+石英であり,解析の予測と整合的である.ピーク圧力条件は藍閃石エクロジャイトにおいて推定されているピーク条件より有意に低温高圧であり,両者の関係解明にはさらなる検討が必要である.