日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2017年年会
セッションID: S1-P01
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S1:火成作用に関する物質科学の新展開(スペシャルセッション)
2013年から2015年に桜島火山から噴出した火山灰を構成する斜長石の構造状態―鉱物科学的に火山活動を監視するための予備的研究―
*松井 智彰丸本 啓介中村 美勇戸髙 京介
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抄録

本研究では,桜島の火山灰を採取して主要な構成鉱物である斜長石の構造状態の長期モニタリングをおこない,桜島火山直下でのマグマの活動に関してより精密に議論するための基礎データを蓄積し,鉱物科学的に火山灰構成鉱物の結晶構造から火山活動を監視するための効率的な調査方法を確立することを目的とする.火山灰試料は,桜島南岳昭和火口の南西約4 kmに位置する鹿児島市立東桜島中学校にて採取した.採取期間は平成25年5月4日から約2年2ヶ月間で,火山灰試料から磁石を用いて磁性鉱物を取り除いた後,粉末化した試料について,粉末X線回折装置(CuKα線)を用いて2θが21˚~33˚の範囲をより精密な条件で測定し,斜長石の構造状態を推定するために必要な回折線データを得た.その結果から,Scheidegger (1973)に従って面指数 (1-11),(-201),(131),(220),(1-31)に対応する回折線の角度(2θ)から ΒとΓを求めた.斜長石は時間変化とともに全体的に灰長石成分に富む方向に化学組成が変化している傾向が確認され,秩序度は以前より狭い範囲に収まる傾向が窺える。

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© 2017 日本鉱物科学会
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