日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: S1-01
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S1:火成作用の物質科学(スペシャルセッション)
Aso4ケイ長質マグマ中の角閃石-ホストメルト間非平衡
*石橋 秀巳諏訪 由起子三好 雅也安田 敦外西 奈津美
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抄録
9万年前に阿蘇火山で発生したAso4火砕流のうち,最初で最大のユニットである4I-1火砕物中に含まれる角閃石について化学分析を行い,角閃石温度計・メルトSiO2計を適用して,共存メルトの温度・SiO2量を見積もった.その結果,温度が900-970℃,SiO2が68-57wt.%の結果を得た.ただし,950-965℃,60-63wt.%SiO2の領域にギャップがみられる.いずれの温度・SiO2量条件も,ホスト相である4I-1メルトについて見積もられた温度・SiO2量(~830℃,~70wt.% SiO2)よりも高温・低SiO2量であり,角閃石‐ホストメルト間で非平衡が生じていたと考えられる.角閃石は,個々の結晶中で均質であり,リムに成長/分解の痕跡が見られない.このことは,噴火直前に角閃石が4I-1メルト中に取り込まれたことを示唆する.高温の角閃石は,Aso4後期に噴出するより苦鉄質なマグマ中によくみられることから,その成因は苦鉄質マグマの貫入に関係する.一方,低温の角閃石は4I-1メルトだまりと隔離されたクリスタルマッシュに由来し,噴火直前にマッシュの部分崩壊が発生した可能性がある.
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© 2018 日本鉱物科学会
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