抄録
シリカ鉱物の変化は断層強度や透水性に大きく影響すると予想されるが、その速度論的な解析は十分でない。本研究はアモルファスシリカがより安定な相へ変化する過程について、亜臨界、超臨界条件で水熱実験を行い、速度論的解析を行うことを目的とする。
実験は、ステンレス製圧力容器にアモルファスシリカと蒸留水を封入し、温度と圧力を上昇させて相変化させた。P-T条件は250℃-4MPa、350℃-16MPa、400℃-25MPa、450℃-25MPaで、5日おきにサンプリングし、実験は60日間行う予定である。固体試料に対してX線粉末回折とSEM観察、溶液に対してpH及びICP-AESによるシリカ濃度の計測を行った。その結果、350℃、400℃共に5日目の時点でクリストバライトに変化していることを確認したが、28日目の時点でも相変化は示さず、クリストバライトのままだった。また、溶液のSi濃度は400℃の実験においては11・15日目の時点でアモルファスシリカの溶解度と概ね一致する結果を得た。今後、定期的なサンプリングを重ね、シリカ析出の速度論的解析を行い、シリカ粒子の相転移の時間発展を明らかにする。