抄録
新燃岳2011年噴火噴出物からOpx層にAugが(100)面で接合する複合輝石が発見された。しかし詳細な記載は十分でない。本研究では、複合輝石の詳細な記載を行い、形成過程を解明し、粒子形状と噴火様式の関連を明らかにすることを目的に研究を行った。新燃岳2011年噴火噴出物に対し、SEM-EDS、EBSD、放射光X線CTを用いた複合輝石の詳細観察の後、異なる噴火様式の軽石についてSEM観察で輝石粒子の形状・粒径分析を行った。結果、全サンプルで複合輝石が観察された。複合輝石は同心状のAl-累帯構造を持ち、Opx層が突出または離溶とは考えにくい厚さの粒子が存在した。従ってOpx粒子の(100)面にAugがエピタキシャル成長したと推測される。その組成は輝石斑晶のリムと類似した。さらにMg/Fe 及びAl濃度の複数回の増減を示す粒子が存在し、複数回マグマ混合を経験したと考えられ、複合輝石はマグマ溜りでも晶出し得ると推測される。また噴火様式によって晶相が異なり、その違いはサブミクロンの粒径で顕著に現れた。この違いは停滞時間だけではなく、他のパラメータの噴火様式による差異を反映していると考えられる。