日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: R1-P14
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R1:鉱物記載・分析評価
京都府和束町石寺産ビスマス鉱物について
*白勢 洋平延寿 里美鶴田 憲次下林 典正
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抄録
京都府和束町石寺地域の領家変成岩類に貫入する石英脈中からは,多様なタングステン酸塩,リン酸塩鉱物が産する。今回は,この石英脈から新たに自然蒼鉛及び二次ビスマス鉱物を見出したので,その産状及び鉱物学的性質を報告する。自然蒼鉛は石英中に1 mm以下の粒状でホセ鉱を伴い,蒼鉛土,塩化蒼鉛土-水酸化蒼鉛土,泡蒼鉛からなるリムを持つ。その周囲には石英の割れ目に沿って厚さ100 μm以下の黄色の二次ビスマス鉱物脈が形成されている。この鉱物脈のXRDパターンは合成ラッセル石Bi2WO6を示すが,EPMA分析の結果Bi:W = 3:1となりBiが過剰であった。ウェイランド石,塩化蒼鉛土-水酸化蒼鉛土を密接に伴う。XRDパターンは131反射がきわめてブロードで,反射強度も低く高角側にシフトしている。b軸方向へのBi2O22+層とWO42-層の積層不整が顕著なためと考えられる。ラッセル石様鉱物についてTEM観察を行ったところ,電子線損傷が顕著であり,10 nm程度の六角板状結晶の形成とその粗粒化が生じた。天然のラッセル石については化学組成や構造が不明瞭であり,より詳細な検討が必要である。
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