日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: S1-P02
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S1:火成作用の物質科学(スペシャルセッション)
流体包有物の地質圧力計としての可能性を探る:流体包有物の再平衡過程解明に向けたその場密度測定法の開発
*萩原 雄貴山本 順司
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抄録

本研究ではCO2のラマンスペクトルの2つの大きなピークの波数差 (Δ) が常温で密度に依存することを利用した.この手法では±0.001 g/cm3の精度で密度を測定可能であるため本研究に最適である.しかし,Δの温度依存性に関して対立した主張が存在するため高温条件下では利用できない.そこで本研究ではマントルゼノリス中のほぼ純粋なCO2流体包有物を利用してΔ の温度圧力依存性を調査し,以下の3つの知見を得た.1) CO2のラマンスペクトルの温度依存性に関する対立する2つの主張は,CO2の密度の違いを考慮に入れると統一的に説明可能である.2) 波数分解能が0.1 cm-1程度のラマンシステムでは少なくとも1%の流体密度の変化を測定可能である.3) CO2流体が高密度である程より正確に流体の密度変化を測定できるということである.更にこのラマン分光分析に基づく手法とマイクロサーモメトリーを組み合わせれば密度変化の測定精度は0.01%オーダーにまで向上するため,このその場密度測定手法により流体包有物の再平衡過程に関して更に高度な議論が可能となる.

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© 2018 日本鉱物科学会
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