抄録
本研究では,小学4年生の漢字の読み書き指導におけるクラスワイドの刺激ペアリング手続きの効果を検証することを目的とした。公立小学校の通常学級4年生の児童(N=23)が参加した。刺激ペアリング手続きは,教室の前方にプロジェクタで文字刺激・音声刺激・意味刺激を呈示するという方法で実施した。漢字の読み書きテストの平均正答数および全問正答した児童の割合を従属変数とした。指導の結果,児童の漢字の読み書きテストの平均正答数が増加し,全問正答した児童の割合も増加した。また,社会的妥当性についての児童へのアンケートの結果,刺激ペアリング手続きは受け入れやすい指導法であることが明らかとなった。クラスワイドの刺激ペアリング手続きは,階層的な指導モデルの第1層における指導法として機能しうることが示された。