LD研究
Online ISSN : 2434-4907
Print ISSN : 1346-5716
通常の学級に在籍する児童への特別支援学校のセンター的機能を通したわり算指導に関する一考察
認知アセスメントに基づく九九の自動化とわり算手順の視覚教材を用いた指導
佐囲東 彰
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2019 年 28 巻 1 号 p. 111-132

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抄録
わり算が苦手な5年生の児を対象に,特別支援学校のセンター的機能を通し,わり算の効果的な指導方略を検討した。算数の学習状況調査や認知能力検査等の事前アセスメントから,わり算のつまずきには,①九九の自動化の未達成,②筆算の手順の理解不足,③商の値の見当のつきにくさ,④桁を揃えることの困難さが推測された。さらに,わり算の困難さの背景にある認知特性として,継次処理能力,ワーキングメモリ,空間認知の弱さがあった。そして,A児の認知特性と合致した指導方略とし,九九の自動化教材,わり算手順表,わり算ヒントカード,升目ノートを導入した。指導の結果,①②④については,一定の効果が確認されたが,③商の値の見当をつけることの困難さが際立った。また,特別支援学校がセンター的機能を通じ,学習指導をすることは一定の効果があった。今後の課題として,商の値の見当をつけるため,より合理的な指導方略の検討が必要であった。
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© 2019 一般社団法人 日本LD学会
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