LD研究
Online ISSN : 2434-4907
Print ISSN : 1346-5716
漢字書字の習得が困難な学習障害児61名の視写の工程におけるつまずきの傾向
大西 正二小菅 英恵熊谷 恵子
著者情報
キーワード: 学習障害, 漢字, 書字
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 31 巻 1 号 p. 34-45

詳細
抄録
漢字書字が困難な学習障害児61名において,見本の漢字を視写(見本を見て書き写す)するまでの6つの工程(①注視点の移行,②形の記憶,③画要素,④筆順,⑤書字運動,⑥視写結果)におけるつまずきの傾向について,10検査(13項目)の結果から階層的クラスター分析を行い,4群に分けられた。4群の集団的特徴を把握するため,Kruskal-Wallis検定を行った結果,第1クラスターは①注視点の移行,②形の記憶,⑤書字運動,第2クラスターは①注視点の移行,③画要素,第3クラスターは②形の記憶,③画要素,④筆順,⑤書字運動,第4クラスターは①注視点の移行の工程に問題がみられる群であることが示唆された。漢字書字が困難な児童の苦手な工程を補い,それぞれの特徴に合わせた学習支援が重要である。しかし,通常学級に存在することが多い学習障害児に対する視写の工程の詳細な評価が困難な学校現場においては,視写の工程のすべてを補う学習支援が必要だろう。
著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本LD学会
前の記事 次の記事
feedback
Top