抄録
発達障害のある子どもは,周囲の対応によって二次的な障害が生じる可能性がある。二次的な障害の背景要因の1つに信頼感の低下が考えられることから,通級指導教室担当教員に対し,信頼感を育むことを意識した支援や指導について自由記述でたずねた。また,関連付けている自立活動の区分をたずねた。420名から得られた562件の記述は「安心感」「支援的対応」「関係構築」「他者理解」「自己理解」「社会性の獲得」「連絡調整」の7つにカテゴライズされた。これらと,発達段階及び障害種との関連について分析したところ,発達段階では「安心感」と「他者理解」に有意差が認められた。障害種で有意差が認められたカテゴリーはなかった。自立活動との関連付けでは,カテゴリーに関係なく【心理的安定】【人間関係の形成】【コミュニケーション】に偏っており,信頼感を育む支援や指導において,効果的な関連付けの難しさが推察された。