抄録
アーレンシンドローム(IS)の症状を示し,アーレンレンズを作成した18歳以上の5名を対象としてインタビュー調査を行った。インタビューから逐語録を作成し,質的な分析手法である修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)にて分析,ISの症状を示す人の進路選択プロセスとして図式化した。結果,ISの支援なし,ISの支援あり,進路選択という3つのカテゴリー,および11の概念が生成された。ISの支援がない状況では「太陽光や室内灯のまぶしさ」「慢性的な体調不良」「読字時のまぶしさ」「読字の困難」が生じ,進路選択では「自尊感情の低下」と「現状への不満・苦悩」が生じる可能性が示された。一方,ISの支援がある状況では「体調不良の改善」「まぶしさの緩和」「読字の困難の改善」という変化がみられ,進路選択においても「自身に適した環境の調整」により「充実感・進路の満足感」が得られる可能性が示された。