LD研究
Online ISSN : 2434-4907
Print ISSN : 1346-5716
最新号
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  • 德澄 愛, 細谷 里香
    2024 年 33 巻 2 号 p. 176-186
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/25
    ジャーナル フリー
    構音の誤りが就学後にもみられる児童には,音韻認識,語音弁別,実行機能のどの側面が関連しているのかを明らかにすることを目的とした。構音の誤りがあり通級指導教室に通う児童と,構音の誤りのない通常学級児童を対象に,構音検査および音韻認識,語音弁別,実行機能についての課題を実施した。その結果,構音の誤りのある児童は,誤りのない児童よりも,単語逆唱,内的語音弁別で誤答割合が有意に高く,Sun-Moon Stroopで干渉スコアに反映される抑制が有意に低かった。構音の誤りの要因として,単語逆唱,内的語音弁別,自己モニタリング,ワーキングメモリ,抑制との関連を考察した。
  • 田中 駿, 牛山 道雄, 清水 里美, 郷間 英世
    2024 年 33 巻 2 号 p. 187-195
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/25
    ジャーナル フリー
    本研究はしりとりを通して幼児の言語発達について検討することを目的とした。研究1では,3歳から6歳の幼児にしりとりを実施し,3往復できたときに,しりとりができると判断し,通過率と通過年齢を算出した。その結果,通過率は年齢と共に上昇し,50%通過年齢は56.2月,75%通過年齢は64.4月,90%通過年齢は71.8月であり,しりとりは5歳頃にできるようになると推定された。研究2では,年少から年長にかけてしりとりを実施することのできた26名が,しりとりで使った言葉をカテゴリーに分けた。幼児がしりとりで多く使うのは「動物」であり,年中,年長では「おもちゃ・遊び」「食べ物・飲み物」「野菜・果物」といったカテゴリーにも広がっていた。しりとりができるようになるのは5歳頃であり,いろいろなカテゴリーの言葉を使いこなすようになることが示唆された。
  • M-GTAを用いたインタビュー調査の質的分析
    小園 侑理愛, 熊谷 恵子, 石丸 詩恵
    2024 年 33 巻 2 号 p. 196-203
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/25
    ジャーナル フリー
    アーレンシンドローム(IS)の症状を示し,アーレンレンズを作成した18歳以上の5名を対象としてインタビュー調査を行った。インタビューから逐語録を作成し,質的な分析手法である修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)にて分析,ISの症状を示す人の進路選択プロセスとして図式化した。結果,ISの支援なし,ISの支援あり,進路選択という3つのカテゴリー,および11の概念が生成された。ISの支援がない状況では「太陽光や室内灯のまぶしさ」「慢性的な体調不良」「読字時のまぶしさ」「読字の困難」が生じ,進路選択では「自尊感情の低下」と「現状への不満・苦悩」が生じる可能性が示された。一方,ISの支援がある状況では「体調不良の改善」「まぶしさの緩和」「読字の困難の改善」という変化がみられ,進路選択においても「自身に適した環境の調整」により「充実感・進路の満足感」が得られる可能性が示された。
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