景観生態学
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特集「景観生態学におけるリモートセンシングの新しい利用」
Satoyama Indexを用いた新潟県全域の農業景観モザイク度の定量化
村上 拓彦望月 翔太中谷 智成
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2013 年 18 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

本研究では,農業景観の不均質性の指標として新たに提唱されているSatoyama Index(以下,SI)を用いて県域スケールで農業景観のモザイク度の定量化を行った.まず,LANDSAT画像に対して,最尤法を用いた教師付き分類を行い,土地被覆分類図を作成した.次に20ピクセル×20ピクセル(600 m×600 m)の空間を解析メッシュと定め,この解析メッシュ内の農業景観構成要素の多様性ALHI(Agricultural Landscape Heterogeneity Index)を算出した.さらに,空間ユニット内において市街地に分類されたセルを除いた解析メッシュ内の非農地区画(広葉樹,針葉樹,裸地,水域)セルの割合をALHIに乗ずることによってSIを算出した.SI値の高い箇所として,典型的な里地里山的環境(農地と森林の境界部分など傾斜地と平野が接する場所や谷が存在する場所など)が抽出された一方で,主要河川沿いや海岸林の部分なども抽出されることが明らかとなった.土地被覆の空間分布パターンとSI値の関係について確認したところ,その空間に含まれる土地被覆の数とSI値に矛盾はなかった.一方,自然度が高いと想定される広葉樹林が高い連続性をもつような空間ではSIは0を示した.SIが農業景観における不均質性を定量化している点に留意して,SI値のみで地域の生物多様性と関連付けることがないようしなければいけないことを指摘した.

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© 2013 日本景観生態学会
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