景観生態学
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短報
公園に関係する人々の多様な要望を森づくりにつなげるための新しい森林ゾーニング方法の提案
丹羽 英之鎌田 磨人
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2023 年 28 巻 1-2 号 p. 125-136

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抄録

里山公園においては,森をこんな風に使いたいという要望を受け止め,適切な活動場所を示すことができる,新しいゾーニング方法が必要である.そこでMulti-Functional Landscape Planning(MFLP)と植物社会学的植生図を用いた里山公園における新しいゾーニングの考え方を提案した.宝が池公園(京都市左京区)の森林(以下,宝が池の森)109.4 haを調査対象とした.2013年より開催されている「宝が池連続学習会」の成果などから,宝が池の森に対する要望を抽出した.空間をゾーンに区分する際の空間単位として,UAV(unmanned aerial vehicle)を使ったLARS(low altitude remote sensing)で作成された植物社会学的植生図を用いた.植物社会学的植生図を空間単位とし,常在度を利用することで要望を実現するのに適したゾーンを選定することができた.さらに,倒木や外来種など植生に関する既存データを追加することで,常在度からは評価できない利用者の要望にも対応できた.植物社会学的植生図と常在度により活動に適したゾーンを選定する方法は,判断基準が明確で容易に理解できるため多様な主体による意志決定にも十分利用できると考えられる.本研究で提案したMFLPと植物社会学的植生図を用いたゾーニング方法は,里山公園における新しいゾーニング方法となると考えられる.

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© 2023 日本景観生態学会
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