景観生態学
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ウラジロモミの侵入に伴う草地消失リスク評価のための要因分析
小串 重治鎌田 磨人
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2008 年 12 巻 2 号 p. 1-15

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抄録
ミヤマクマザサが優占するササ草地にウラジロモミが侵入しつつある徳島県の剣山国定公園内に位置する落合峠において, ササ草地への樹木侵入に係わる要因を空間的に把握・分析した.まず, 1954年, 1962年, 1975年, 1990年, 2000年の5年代の航空写真判読により作成したウラジロモミ定着図の比較を通じ, ウラジロモミ分布域の拡大傾向を把握した.ササ草地内でのウラジロモミの分布面積は経年的に増加し, また, その初期種子供給源 (1954年時のウラジロモミの分布位置) から遠くなるにつれて減少する傾向が認められた.次に, ミヤマクマザサの繁茂程度がウラジロモミの侵入に及ぼす影響を把握するため, ミヤマクマザサめ地上部体積指標を調査地域全域にわたって推定できるモデルを作成した.ミヤマクマザサの地上部体積指標は相対光量子密度との相関関係より4つに類型化することができた (Svi1>18.5%, 10.6%<SviII≦18.5%, 5.5%<SviIII≦10.6%, SviIV≦5.5%).対象地域全体における4つのササ繁茂型は, 5mDEMから算出可能な “地形指数” と “南からの風当たり指数” の2つの地形要因を説明変数とする樹形モデルにより推定可能であった.さらに, ウラジロモミ定着図と樹形モデルに基づき作成したササ繁茂型推定図とのオーバレイ解析の結果, SviIVにおけるウラジロモミの定着速度は顕著に抑制されていることが明らかになった.それは, SviIVの光条件が悪いことを反映していると考えられた.また, SviIの定着率はSviIIおよびSviIIIよりもやや低くなる傾向が認められたが, これは風当たりが強く, 乾燥しているSviIの立地条件が影響していると推定された.
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